2025年のドル円相場見通し | 三井住友DSアセットマネジメント


4月10日、日本銀行の総裁が10年ぶりに交代となりました。総裁は変わったものの、これまでの大規模な金融緩和策については、当面、継続する姿勢が示されています。一方、アメリカの中央銀行にあたるFRB(米連邦準備理事会)は、歴史的な物価高を抑え込む為、22年3月以降利上げを継続しており、この金利差拡大が「円安・ドル高」の要因となっています。


日米金利差を背景とした円安ドル高の流れが変化するとしたら、日米中銀の金融政策スタンスにかかっているでしょう。日銀もFRBも「2%の物価目標を持続的に達成できるかどうか自信がない」と示しているのですが、日銀は物価下振れを、FRBは物価上振れを警戒しており、政策方針が真逆です。それがこの金利差に繋がっているのですが、日米の物価動向次第では、金融政策姿勢が変化し金利差が縮小する可能性があります。

日銀の姿勢が変化してきたことで、日本の金利が上昇し、日米金利差がやや縮小しましたが、図1にあるように、そもそも5月13日時点の日米金利差は10年国債利回りで3.5%程度、2年国債利回りで4.5%程度と、大幅に開いているため、日本の金利の小幅な動きではこの金利差に与える影響は軽微です。実際、ドル円レートも一瞬は円高に振れたものの、すぐに円安傾向へ戻ってしまいました。

【ドル円相場】円、一時155円台 米金利上昇で3カ月半ぶり円安水準

研究員作成のIIMA-GMVI(グローバルな金融・資本市場のリスク度を表す指数)、購買力平価のグラフ及びデータ等

日米の対照的な金融政策により、22年3月以降、金利差が拡大しています。

FXでは高金利の通貨を買い、低金利の通貨を売ることで金利差分に相当するスワップポイントを得ることができ、一般的に金利差が大きいほどスワップポイントの金額が大きくなります。
取引所FX(くりっく365)の「米ドル/円」で、買いポジション(ドル買い/円売り)を保有することで、現在の日米の金利差によりスワップポイントを受け取ることができます。為替レートの変動で外貨を売買して差益を得ることに加え、金利差によるスワップポイントを受け取ることも、利益を狙う一つの方法です。

しかし、ドル円レートは2023年の年平均がほぼ140円、2024年は5月13日までの平均がほぼ150円と、円安による輸入物価の上昇圧力は高まっています。5月8日に植田総裁は「急速かつ一方的な円安、日本経済にマイナスであり望ましくない」と発言し、それまで為替レートへの直接的な評価を避けていた姿勢を変化させました。


【NHK】1日の東京外国為替市場は、日米の金利差が縮小するという見方が後退し、円相場は9月30日とは一転して、一時、1ドル=144…

もちろん、金融政策運営は経済・物価・金融環境など全般を見て判断するため、円安だけで日銀が追加利上げや国債買入れ縮小を決定するわけではありません。また、日銀の行動だけでは日米金利差が大幅に縮小する可能性は低く、FRBの利下げ観測が高まるかどうかが重要です。

日米の金利差拡大でFXに注目!米ドル/円スワップポイント増加中!

金利差に影響を与える日銀・FRBの行動の起点は、日米のインフレ動向にあり、ドル円レートはインフレ・データの公表時に大きく動く状況がしばらく続くのではないでしょうか。

円相場、一時1ドル155円台 米金利上昇で3カ月半ぶりの円安水準

しかし、ドル円レートが急変動したゴールデンウイーク期間後に、植田日銀総裁の発言に変化が出てきました。5月8日に植田総裁は「過去と比べると為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面があることは意識しておく必要がある」と発言し、円安で物価が上振れれば金融緩和縮小の可能性を示唆しました。その後、5月13日には冒頭に記載したように、日銀は国債買入れオペを減額しました。

円相場、一時1ドル155円台 米金利上昇で3カ月半ぶりの円安水準 ..

米ドル/円のスワップポイントは、日米の金利差拡大にともない、受取額が大幅に増えています。

13日は日銀金融政策決定会合での利上げ見送りが改めて報じられる中、豪ドル・円は更に上昇し、越週した。 債券


米FRBは2022年3月、コロナ危機以降2年間続けたゼロ金利政策を解除し、約40年ぶりのインフレ(物価上昇)を抑制する為、金融政策を大規模な緩和から引き締めに転換させました。

円安160円に必要な金利差は3.6%=米4.8%、日1.2%で達成可能

《本資料は執筆者の見解を記したものであり、当社としての見通しとは必ずしも一致しません。本資料のデータは各種の情報源から入手したものですが、正確性、完全性を全面的に保証するものではありません。また、作成時点で入手可能なデータに基づき経済・金融情報を提供するものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資に関する最終決定はお客さまご自身の判断でなさるようにお願い申し上げます。》

円高圧力強まるか FOMCで利下げ決定へ 日米金利差は縮小見通し

日米の金利差拡大が進む中、注目を集めているのが外貨預金とFX。どちらも外貨投資という点で共通する2つの商品。それぞれの特徴を6つの項目で比較しました。

円高圧力強まるか FOMCで利下げ決定へ 日米金利差は縮小見通し

このような円安ドル高の主因となっている日米金利差ですが、この拡大した金利差が長期間継続するとの見方の背景には、「緩和的な金融環境を当面継続する」という日銀に対し、FRBは「インフレ率が持続的に2%へ向かっているとの確信がさらに強まるまで利下げをしない」との方針を示していることがあります。このように、日銀は緩和継続で、FRBは高金利維持の方針を示す以上、近い将来に金利差が急速に縮小する可能性は低いため、投資の取引も投機の動きも円売りに傾きやすい環境となっています。

「実需の円売り」が影を潜める中、日米の金利はどう動くか。2025年の為替相場を展望する後編。


一見ハイリスクなイメージのFXですが、実は外貨預金と同様の運用も可能です。しかも、低コストであることや金利(スワップポイント)が毎日受取れるなど、多くの点でメリットがあります。

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現在のドル円為替相場が1ドル=112円、3カ月ものの円金利が年利0.01%、同じくドル金利が1.1%の場合、3カ月の先物為替相場を計算すると1ドル=111.70円で(後述「直先スプレッドと先物相場の算出方法」ご参考)、直先スプレッドは30銭(111.70円-112円=▲0.30円)です。これを年率に換算すると0.30×12/3÷112×100=1.07%となり、ドルと円の金利差の1.09%とほぼ一致します。このように金利差と直先スプレッドが一致している状態を「金利平価が成立している」といいます
金利差と直先スプレッドが乖離しているとき、すなわち「金利平価が成立していない」ときはどのようなことが起きるでしょうか。分かりやすくするために、3カ月の先物相場も直物相場同様1ドル=112円だとします。この時に直物で10,000ドル買って年利1.1%で運用すると同時に、3カ月先物の10,000ドル売り予約を行えば、3カ月後には10,027ドルを確実に112.3024万円(112円×10,027ドル=112.3024万円)に換えることができます。為替リスクなしで、円とドルの金利差1.09%だけ、ドルで運用する方が円よりも有利になる(金利差益が発生する)のです。このような状況では、ドルの直物買い・先物売りが活発に行われることでしょう。結果、ドルの直物相場は上昇、先物相場は下落し、直先スプレッドは前述の金利差益を打ち消す水準までドル先安の方向に拡大していきます。この例ではドルの先物相場は112円から111.70円に近づいていくのです。このように、通常は金利平価が成り立ちます。

木内登英の経済の潮流――「見えてきた歴史的な円安局面の終わり」

1990年に京都大学法学部卒業後、三井住友信託銀行に入社。公的資金運用部にて約6年間、受託資産の債券運用・株式運用・資産配分業務に携わった後、総合資金部で自己勘定の運用企画を担当。以後、現在にいたるまで、為替・金利を中心にマーケット分析に従事。

1ドル150円に向かう円安 ~米長期金利が上昇する原理~ | 熊野 英生

個人に人気の外貨投資、その中でも話題になることが多い外国為替証拠金(FX)取引。メリットやリスクを十分に理解したうえで、FXをはじめてみませんか。

円安急進の可能性も ドル円に節目か 日米金融政策の見通しは?

このような日米金利差拡大による円安ドル高の背景には、「低金利通貨を売って高金利を買う」という、いわゆる「キャリートレード」が積極的に行われていると考えられます。加えて、投機筋が「この先も金利差がなかなか縮小しないので『キャリートレード』による円売りがまだまだ続くだろう」と見込んで、先取りで円売りを仕掛けている可能性も高いと思われます。