トランプ円安が突き進む ~1 ドル160 円を目指す展開~ | 熊野 英生
筆者は、1月のトランプ就任前後にさらに米長期金利が上がって、ドル高・円安が進むと警戒している。ドル円レートは、2024年7月上旬につけた1ドル161円台にまで接近する可能性があるとみる。そこに至るまでに、おそらくは通貨当局による口先介入があって、一時的な膠着状態が起こるだろう。それでも、トランプ要因でのドル高圧力の方が大きな作用なので、円安への流れは止まらないとみる。
ほかにも、①トランプ減税、②化石燃料使用に寛容なところ、③イスラエル支持で中東情勢が緊迫化しそうな側面、④移民の強制送還、などなどいずれもインフレ要因と見られる。インフレになると、FRBは利下げが進めにくくなる。この思惑が中長期金利の高止まりを招き、ドル高を引き起こしている。
トランプ氏が大統領に就任するのは2025年1月20日である。就任当日に様々な公約を実行に移すだろう。今、一番恐れられているのはトランプ関税である。輸入のすべてに10~20%の追加関税、特に中国からの輸入には60%、ほかにもメキシコからの自動車輸入には100%と言っている。関税率の引き上げは、米国の消費者に価格転嫁されるから、物価上昇要因だ。
日米金利差の拡大は、ドル高・円安要因である。今後、これに対抗しようとする日本の通貨当局の口先介入と、日銀の追加利上げはどうなるだろうか。
さて、植田総裁ならばどう考えるだろうか。選択肢は、12月会合(12月18・19日)、1月会合(1月23・24日)である。米大統領就任は1月20日になる。これは、連立方程式を解くような格好である。
さて、日銀はどうだろうか。衆議院選挙で与党が敗北して、筆者は日銀の年内利下げはないと思った。しかし、ここにきて12月利上げの公算は高まっている。来夏に参議院選挙を控えた石破政権は、物価上昇の再加速を快くは思わないだろう。秋の経済対策の吟味も行われている。日銀は、クリスマス商戦を念頭に置き、「米国経済の見極め」を行うつもりだ。このアナウンスは、2024年12月か、2025年1月のいずれかに利上げをする意向を示すものだ。それに対して、足元の円安進行は12月利上げの可能性を高めるものだろう。近々、財務官や植田総裁から円安への口先介入が行われるだろう。そうした展開になれば、12月利上げは近いというシグナルだと考えられる。
今後の円安進行で気になるのは、日本の通貨当局が為替介入に打って出るかという論点だ。2024年4月29日・5月1日には介入を実施している。為替相場が連休前に1ドル153~155円で膠着していたところから、一気に156~157円に円安が進んだところで、頭を押さえるように9.8兆円の為替介入が行われた。このときは随分と投機色が強かった。現在は、シカゴのIMM通貨ポジションは、以前よりも円売り方向になってきたが、4・5月ほどは投機筋の円売りポジションが膨らんでいない。だから、今のところ実勢を反映した円安に見えるが、円安の勢いが強いと介入の可能性は高まっていく。
まず、12月会合ならば米クリスマス商戦を見極めづらい。前哨戦だけをみて、全体の動向を窺うことになる。1月会合の利上げならば、トランプ大統領の就任日の直後になる。もしかすると、円安に弾みがついている可能性がある。円安の趨勢に歯止めをかけたいのであれば、12月利上げの方がよいと考えられる。7月末の利上げのときは、だいたい20円程度の幅で円高へと修正された。12月会合は12月19日だから、トランプ就任前に円高方向に為替レートを修正しておいて、就任日前後にそれが再び円安に押し戻されるというシナリオになるだろう。
03:20 【日銀】利上げしている場合じゃない・ドル円は衆院選前から円安ドル高傾向 ..
長短金利をみてみると、11月の利下げ後のFFレートの誘導目標は、4.5~4.75%である。長期金利は4.4%台まで上がっていて、これはほぼ同水準だ。ここには短期金利の見通しの変化が背景にあるのだろう。今後は、短期金利があまり下がっていかないだろうという予想なのだ。従来の短期金利>長期金利の図式、つまり長短金利の逆転が続いてきた。しかし、それは解消する手前までやってきている(図表2)。FRBは、9月時点で2025年中▲1.00%ポイントの追加利下げを予告しているが、長期金利はその利下げをあまりカウントしていない水準で推移している。これは、潜在的なインフレ圧力を見込んでいるということだ。そして、FRBがどこかで利下げを休止して、いずれ利上げ方向に転じてもおかしくはないことを見込んでいるのだろう。米金利のイールドカーブは、1~3年にかけて4.2~4.3%程度になっている。
結果、円よりも米ドルの需要が高まるため、円の価値が下がり米ドルの価値が上がる、円安ドル高になります。 金融政策発表時は為替変動に注意
興味深いのは、FRBが利下げを進めている最中でも、ドル高が進んでいることだ。9月、11月と利下げを行い、12月もさらに▲0.25%の利下げを行う見通しである。これは、本来、ドル安要因だ。それなのに、逆にドル高になっている。
【そもそも解説】円安止まらず1ドル=160円台に なぜ?影響は?
ドル円レートは、1ドル156円台までドル高が進んだ(図表1)。11月5日の選挙でトランプ氏が次期大統領に決まり、ここにきて上下院ともに共和党が過半数を占めることが確実になったからだ。下院でねじれがあれば、法案修正の圧力がかかるが、トリプルレッドが確実になったので、そうした圧力を受けずにトランプ政策が通りやすくなった。それは間接的に財政赤字要因になるので、米長期金利が上昇した。これはドル高要因だ。
ドル(円) 12/24 16:12 157.08-10+0.29円安(+0.18%) · NYダウ(ドル) ..
円安進行が目立ってきている。トランプ当選で地殻変動が起きている。財政悪化の観測が、米長期金利を押し上げている。FRBの利下げについても、2025年にかけては進めにくいと予想される。日米金利差の拡大は、ドル高・円安要因である。今後、これに対抗しようとする日本の通貨当局の口先介入と、日銀の追加利上げはどうなるだろうか。
円高、円安とは何ですか? : 日本銀行 Bank of Japan
政府は、電気ガス代の価格支援を2025年1~3月にかけて実施する見通しである。日銀が1月まで待って利上げする場合、それまでの円安で輸入物価が上がるため、基調的な消費者物価は2025年1~3月にかけて上がるだろう。それを12月利上げにしておけば、いくぶん物価上昇圧力を抑えられるはずだ。植田総裁は、やはり12月利上げを選択してきそうだ。
第57回「日米金利差とドル円レート」 知るほどなるほどマーケット
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その瞬間にドル円レートが40銭ほど円高に振れたものの、すぐに元の水準に戻りました。 円安ドル高の主因は日米金利差
A 今年の初めは1ドル=140円台だったのが、足元では一時、1ドル=160円台まで下落した。円の価値はドルに対して20円程度も下がったことになる。1ドル=160円台は、バブル景気のさなかだった1990年4月以来、34年ぶりの円安水準だ。
トランプ氏優勢の観測で円安・株高進む 一時1ドル154円台前半に
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高水準となった。米大統領選の開票で、トランプ前大統領が激戦州で優勢との見方が広がり、トランプ氏の返り咲きを見込んだドル ..
A 円の価値が相対的に下がるから、日本が輸入に頼る原油や小麦を海外から買うときに、今までより多くの円が必要になる。そうすると、企業の仕入れ価格は上がる。企業がその分を商品に価格転嫁すれば、消費者にとっても、日常的に買うガソリンや食料品などの値段が上がる。家計の負担が増えることになる。
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【しぶといドル高圧力、一体いつまで続くのか?~マーケット・カルテ5月号】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。