豪ドル大台接近 16年ぶり高値も オーストラリア経済の見通しは?


豪ドル(AUD)は豪州で発行される通貨で、先進国通貨の1つとして知られています。
豪州は中国と経済的な結びつきが強いと言われることがあり、これを反映して豪ドルは中国の経済指標などに反応して動くことがあります。


Bloombergが集計する主要17通貨の上昇率をみると、24年7-9月期(9/27まで)に円が1位、米ドルは最下位(下落率1位)のメキシコペソに次いで下から2番目でした。日銀が7月末に3月に続いて2回目の利上げを実施して金融政策の正常化を進めたこと、その他の主要中央銀行が利下げを実施し、なかでも米FRBの大幅な利下げ観測が強まったことなどが背景です。金融政策の方向性に大きな変化がなければ、「円高」「米ドル安」が25年3月までの為替相場の基本となりそうです。

当面の注目ポイントは、日銀の利上げやその他主要中銀の利下げが市場予想の通り進むかどうか。





9月27日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む日銀の0.25%利上げの確率が5割を超える(=メインシナリオ)のは25年1月以降です。ただ、同9月時点でも同確率は9割弱に過ぎず、わずかながら「利上げナシ」との見方もあるようです。一方で、米FRBについては25年9月までに計2.0%の利下げがほぼ100%織り込まれています。同様に、ECBは同9月までに計1.64%、BOEは同じく計1.59%の利下げが織り込まれています。金融政策面からみた主要通貨の序列は「円>英ポンド≧ユーロ>米ドル」です。

日米の政治情勢も重要でしょう。日銀の利上げに批判的だった高市氏の敗北を受けて「円高」が示現しました。今後は誕生が確実な「石破政権」がどのような経済政策を運営するかが注目されます。石破政権が財政緊縮を進めるならば、日銀の利上げは難しくなると考えられますが、果たしてどうか。

米国では11月5日の大統領選挙の結果、25年1月20日に誕生するのは「ハリス政権」か、「トランプ政権」か。「ハリス政権」なら財政拡張が、「トランプ政権」ならFRBへの干渉やインフレ的政策が、いずれも長期金利の上昇につながる可能性があります。ただ、市場がそれを「悪い金利上昇」と判断すれば、米ドルに下押し圧力が加わる可能性があるでしょう。新大統領が実際にどのような政策を打ち出すのか。新しい議会の勢力図がどう変わって、新大統領の政策を実現させるのか、そして、市場がどう反応するか、大いに注目でしょう。

◇2025年3月までの主なイベント:
10月9日 衆院解散?
10月27日 衆院選投開票?
11月 5日 米大統領選挙・総選挙
25年1月20日 米新大統領就任


米景気の堅調が続けば、FRBの利下げに関する市場予想は修正されるかもしれません。逆に、労働市場が急速に悪化して景気の失速が懸念されれば、市場予想の通り、あるいはそれ以上に利下げが進められるかもしれません。

日銀は金融正常化を慎重に進める意向のようです。利上げの条件である金融市場が安定化したと判断するのはいつでしょうか。FRBなどの主要中銀が利下げを続け、その結果もあって「円高」が進行するならば、日銀の追加利上げは遠のくかもしれません。

米ドル/円は日米長期金利(10年物国債利回り)差との相関を取り戻しています。9月中旬に23年6月以来の安値をつけた米長期金利が一段と低下して、日米金利差が縮小すれば、米ドル/円に下押し圧力が加わりそうです。それとも、9月中旬以降の米長期金利上昇は5-9月の低下トレンドの転換を示唆しているのでしょうか。そうであれば、米ドル/円の下落余地は大きくないかもしれません。<西田>






ECBは6月と9月に利下げを実施し、主要政策金利である中銀預金金利を3.50%としました。市場は次回10月の理事会を含め、25年7月までの7回の理事会で毎回0.25%利下げを行うペースでの利下げを織り込んでいます。市場が予想するECBの利下げペースはFRBのそれよりもやや遅めです。ただし、9月のユーロ圏総合PMI(速報)が今年2月以来となる50割れを記録するなど、景気停滞感が強まっており、ECBが(0.50%幅を含め)利下げを積極化させる可能性があります。その場合、対円のみならず対米ドルや対英ポンドでもユーロには下押し圧力が加わるかもしれません(*ユーロ/英ポンドについては英ポンドの項もご参照ください)。<西田>









英国は今年、昨年後半のリセッション(景気後退)からを脱しましたが、足もとで再び低迷しているようです。月次GDPは4-7月のうち5月を除いて3カ月で横ばいでした。インフレについては、BOE(英中銀)の期待通り鈍化してきましたが、BOEはCPIサービスの高い伸び(7月に前年比5.2%)には懸念を抱いているようです。

金融政策の観点からは、英ポンド/円には下落圧力が、英ポンド/米ドルには上昇圧力が加わりそうです。また、9月27日のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、BOEはECBと同じようなペースでの利下げが予想されていますが、両者の間には徐々に差ができるかもしれません(BOE利下げ幅<ECB利下げ幅)。その場合、ユーロ/英ポンドには下落圧力が加わり、16年英国民投票後の安値(0.81979ポンド)を試すかもしれません。<西田>








RBA(豪中銀)は23年11月に利上げを実施した後、24年9月まで7会合連続で政策金利を4.35%に据え置きました。9月会合時の声明では、先行きの金融政策について「(RBA)理事会は何も決定しておらず、何も排除していない」、「インフレ率が目標レンジに向かって持続的に鈍化しているとの確信が得られるまで、政策は十分に(景気)抑制的である必要がある」と改めて表明されました。

米FRBやECB(欧州中銀)など、日銀を除く主要中銀の多くが今後追加利下げを行うとみられる一方で、RBAは政策金利を当面据え置きそうです。このことは豪ドルにとってプラスになると考えられます。

今後、日銀が追加利上げを行うとしても、RBAが政策金利の据え置きを続ければ、RBAと日銀との政策金利差はそれほど縮小しないと考えられます。金融政策面からみれば、豪ドル/円は底堅く推移する可能性があります。

豪ドル/米ドルについては、FRBの金融政策も重要です。FRBが利下げを継続する場合、豪ドル/米ドルは堅調に推移しそうです、
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【豪ドル/NZドル】
RBAは政策金利を当面据え置くとみられる一方で、RBNZ(NZ中銀)は8月の会合で利下げを実施して今後も利下げを継続することを示唆しました(*詳細はNZドルの項をご参照ください)。RBAとRBNZの金融政策面から見れば、豪ドル/NZドルには上昇圧力が加わりやすいと考えられます。

ただ、豪州の失業率はジリジリと上昇しており、24年7月と8月は4.2%と22年1月以来の高い水準になりました。RBAの次の一手は利上げではなく利下げになる可能性の方が高そうです。将来的にRBAの利下げが現実味を帯びれば、豪ドル/NZドルは軟調に推移すると考えられます。<八代>









RBNZ(NZ中銀)は8月の政策会合で0.25%の利下げを実施し、政策金利を5.50%から5.25%へと引き下げました。

RBNZが8月会合で公表した金融政策報告では、政策金利は24年10-12月期に四半期平均4.92%、25年10-12月期に同3.85%へと低下するとの見通しが示されるなど、今後も利下げを続けることが示唆されました。

RBNZと日銀の政策金利差は今後さらに縮小していくと考えられます。金融政策面から見れば、NZドル/円は上値が重い展開になるかもしれません。

NZドル/米ドルについては、米FRBの利下げペース次第ではそれほど下がらない可能性があります。<八代>







BOC(カナダ中銀)は6月・7月・9月の3会合連続で利下げを実施しました。マックレムBOC総裁は9月24日の講演で「政策金利のさらなる引き下げを期待するのは妥当だ」と述べ、追加利下げを示唆しました。

市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、市場では25年3月までに合計1.25%の利下げが行われるとの見方が有力です。BOCと日銀の金融政策の差を考えると、カナダドル/円は軟調に推移する可能性があります。

米ドル/カナダドルは22年9月以降、おおむね1.30000カナダドル~1.40000カナダドルのレンジで推移しています。FRBとBOCのいずれも利下げ方向にあることから、米ドル/カナダドルには明確な方向感が出にくいと考えられます。

原油価格(米WTI原油先物など)が大きく変動すれば、それにカナダドルが反応する可能性があります。原油価格の下落が続く場合、カナダドル安材料になりそうです。<八代>






TCMB(トルコ中銀)は24年3月に利上げを実施した後、9月まで6会合連続で政策金利を50.00%に据え置きました。9月会合時の声明では、「月次のインフレ(率)の基調的なトレンドが大幅かつ持続的に低下し、インフレ期待が(TCMBの)予測範囲に収束するまで、金融引き締めスタンスを維持する」と表明されました。

TCMBの政策金利の高さやタカ派的な金融政策スタンスは本来、トルコリラにとってプラスになると考えられるものの、トルコリラは軟調に推移しています。その主な要因として、トルコの実質金利(政策金利からCPI上昇率を引いたもの)が依然としてマイナスであることが挙げられます。

トルコのCPI(消費者物価指数)は24年5月の前年比75.45%をピークに鈍化しており、8月の上昇率は51.97%でした。今後、実質金利がプラス(CPI上昇率よりも政策金利の方が高い状況)に転じてさらにプラス幅を拡大していけば、トルコリラは持ち直す可能性があります。

TCMBの金融政策に関するエルドアン大統領の発言に注意は必要です。エルドアン大統領が再び金融政策に干渉するようなら、トルコリラには下押し圧力が加わりそうです。<八代>




SARB(南アフリカ中銀)は9月の政策会合で0.25%利下げすることを決定し、政策金利を8.25%から8.00%へと引き下げました。SARBが利下げしたのは20年7月以来およそ4年ぶりです。

クガニャゴSARB総裁は会合後の会見で、「SARBの予測では、政策金利は25年に中立的な水準へと向かい、7%を若干上回る水準で安定すると見込まれる」と述べ、追加利下げを示唆しました。このことは、南アフリカランドにとってマイナスと考えられます。SARBと日銀の金融政策の方向性から見れば、南アフリカランド/円は上値が重い展開になりそうです。

南アフリカでは、発電設備の老朽化による電力の供給不足から計画停電がたびたび実施されています。停電は経済活動を阻害するため、計画停電が長期間実施される場合には同国景気への懸念が市場で強まるかもしれません。その場合、南アフリカランドの上値を抑える要因になりそうです。<八代>




BOM(メキシコ中銀)は9月の政策会合で0.25%の利下げを行うことを決定。政策金利を10.75%から10.50%へと引き下げました。BOMの利下げは3月と8月に続いて3回目です(5月と6月の会合は政策金利を据え置き)。

BOMは声明で「政策金利のさらなる調整が可能になると予想している」と表明し、追加利下げを示唆しました。BOMの追加利下げはメキシコペソにとってマイナスですが、利下げのペースが緩やかならば、メキシコペソはそれほど下落しないかもしれません。主要国の中銀と比べてBOMの政策金利の水準がかなり高い状況に大きな変化はないと考えられるからです。

米国とメキシコの政治情勢には注意が必要です。メキシコでは10月1日にシェインバウム氏が大統領に就任します(任期は6年間)。司法の独立性を脅かすとして市場が懸念する司法制度改革は9月15日に発効しました。新政権がメキシコ政治への懸念を一段と強めるような政策・・・例えば選挙制度改革などを推進すれば、メキシコペソ円には下押し圧力が加わるかもしれません。11月の米国の大統領選の結果もメキシコペソの動向に影響を与える可能性があります。<八代>




ノルウェー銀行(中銀)は9月19日の会合で政策金利を4.50%に据え置きました。また、先行きに関して年内の据え置きと25年1-3月の利下げを明言しました。リクスバンク(スウェーデン中銀)は9月25日の会合で0.25%の利下げを決定、政策金利を3.25%としました。さらに、年内2回の会合それぞれで利下げを示唆、うち1回は0.50%になる可能性がるとし、さらに25年前半に1回ないし2回の利下げがありうるとのガイダンスを出しました。

少なくとも25年初めまでは政策金利差が拡大する可能性が高く、NOK/SEK(ノルウェークローネ/スウェーデンクローナ)には上昇圧力が加わるかもしれません。ただ、過去の経験では、NOK/SEKは金利差以上に原油価格の影響を受けやすいようです。WTI原油価格は21年後半以降の安値圏である60ドル台(後半)で推移しており、一段と下落するようであれば、金利差からみたNOK/SEKの上昇圧力を相殺する可能性がありそうです。<西田>




チャート左側に、円高が大きく進んでいる部分があります。
これは2008年のリーマンショック付近の値動きで、豪ドル/円は暴落しました。
全体としては同じ範囲を行ったり来たりしており、豪ドル/円は長期間にわたってレンジ相場を形成してきたと言えます。

豪ドル円相場が16年ぶりの豪ドル高水準に近づいている。ただしオーストラリア経済の見通しの悪さは豪ドルを下押しされる可能性も。

当記事では、2025年の豪ドル/円の見通しや予想について解説します。

2008年頃の豪ドルは、政策金利が約7%まで上昇していたこともあり、高金利通貨の代表格でした。
しかし、リーマンショックの影響で金利が引き下げられ、それ以降は高金利通貨としての魅力が薄れてしまいました。

さて、オーストラリア経済に目を移すと同国経済は2018年までの28年間にわたり年度単位でのプラス成長を実現してきています。ですが、新型コロナウイルス感染拡大やドル需給問題などの影響によって2020年の経済成長率はマイナスに転じてしまいました。しかし、新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた初期から財政・金融双方において大胆な支援策を打ち出したことによって同国経済は他国と比べ悪化せず、結果的に早い段階でコロナショック以前の水準を回復するとその後も着実な成長を続けています。

年初から7月にかけて、豪ドル/円は円安の展開でした。
この要因として、日本と豪州の金利格差が指摘されています。
下のグラフは、豪州準備銀行(RBA)と日銀の政策金利の推移を示したものです。


られた。日銀は、2025年度後半以降、インフレ目標に収束する見通しを維持

しかし、7月以降は一転して円高が進み、売りが収まるとレンジ相場に移行しました。
この間、豪州の政策金利に変化は見られません。
日本の政策金利引き上げ見通しを受けて、円は他の主要通貨に対して強い展開でした。
豪ドルに対しても同様の動きが見られます。

豪ドルは契約時に選択できる通貨として、米ドル・ユーロとともに多くの生命保険会社で採用されています。 オーストラリア経済の魅力

資源国通貨としての特色が色濃い豪ドルですが、鉄鉱石やボーキサイトといったに加え、石炭や天然ガスといったの商品相場に連動して為替相場が影響を受けます。もちろん、同国の経済においてもこれら資源貿易は重要な位置を占めており、がオーストラリア経済に与える影響は非常に大きいと言えます。

先進国通貨の中でスワップポイントが高水準に推移する豪ドルとギリシャ問題で揺れるユーロについて解説します。

経済対策が期待通りの効果を上げるなら、中国経済は回復すると見込まれます。
豪州は中国と経済的な結びつきが強いとされており、中国経済の発展は豪ドルの上昇につながることが考えられます。

主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。

豪ドル相場の見通しを予測するうえで、オーストラリア経済の指標チェックは欠かせません。なかでも、オーストラリア準備銀行(Reserve Bank of Australia 以下、RBA)が発表する政策金利や声明文は非常に高い注目度を集めます。

[PDF] 投資のヒント 足元の豪ドル相場の堅調な背景と年後半の展望

RBAはオーストラリアを見舞ったコロナショックに対応し、その経済支援の一端として政策金利を過去最低の0.10%まで引き下げました。その後、RBAが注視していたインフレ率や失業率などが改善に向かっていく中で利上げが進んでいき、一時停止を挟みながら2023年11月会合まで利上げを継続しました。2024年5月時点の政策金利は4.35%となっています。
現在は金利を据え置いていますが、インフレ動向とRBAの金融政策の行方が今後の注目ポイントです。

10年後は100円台?【豪ドルの長期見通し】未来が明るい理由とは

世界的に大きなダメージを与えた新型コロナウイルスの蔓延による経済活動の停滞。そのコロナショックからいち早く立ち直ったオーストラリア経済を底支えしているのが鉄鉱石に代表される鉱物資源、液化天然ガス(以下、LNG)に代表されるエネルギー資源の輸出にあります。
近年は世界的にコモディティ価格が堅調に推移しており、この流れはインフレリスクのヘッジ手段としての需要を背景に続いていくことが想定されます。したがって、オーストラリア経済の成長見通しが堅持されれば、豪ドル/円相場も比較的堅調な推移となりそうです。一方、昨今のウクライナ情勢をはじめとした地政学リスクの高まりを受けて、商品相場のボラティリティは高まっているため、資源価格が変動する局面では豪ドル/円相場への影響には注意したいです。

【見どころ解説!】豪ドル/円 辰年最後の買い場探し?(津田隆光)

逆に、中国経済の回復が思わしくない場合、豪州経済にとってもマイナスに作用する可能性があります。
これは豪ドルの下落要因になると考えられます。

ゴールドマン・サックス・インターナショナルは、1年後の円の対ドル相場見通しを従来の1ドル=150円からドル安方向に修正し、140円とした。

コモディティ価格の上昇による貿易黒字は中国需要に依るところが大きいため、中国国内の経済動向や豪中関係の政治的変化にも気を配る必要があります。

現在の中国経済ですが、その足元は今まさに正念場を迎えているといっても過言ではないでしょう。2020年のコロナショック以降、初期段階では迅速なロックダウン(都市封鎖)やワクチン接種の進展から早期の経済立て直しに期待がかかりました。ただ、金融緩和による投資マネーの流入で不動産価格が高騰し、政府は住宅ローンや不動産開発企業への融資に規制を設けました。これを契機に中国市況は低迷をはじめ、中国恒大集団などが経営危機に陥りました。

足元でも、不動産を巡る不透明感が幅広く経済の足かせとなる展開が続いており、中国当局はその対応に様々な手を講じています。今後のオーストラリア経済の見通しを見極めるうえでも中国の政治・経済動向には目を向けておく必要がありそうです。

豪ドル/円の見通しを予想、解説!年内100円到達の可能性はある?



25年の最大のテーマは、。トランプ氏の選挙公約は、トランプ減税の恒久化、法人税率引き下げ、関税引き上げ、移民規制の強化など。今回も『MAGA(アメリカを再び偉大に)』をスローガンとしたように、やろうとしていることは1期目とほぼ同じです。議会の上院と下院も同じ共和党が多数派となるトリプル・レッドが実現したため、トランプ大統領が自身の政策を推進しやすい状況でしょう。




16年大統領選挙ではトランプ氏の公約を織り込む形で、米ドル高や米株高、いわゆるトランプ・ラリーが発生しました。ただし、17年1月にトランプ大統領が就任すると、米ドルは下落基調に転じました。トランプ大統領の対外強硬姿勢が米ドル離れを引き起こしたこと、米FRBが利上げを進めるなかでも、長期金利が低下したことなどが背景でした。

トランプ大統領1期目と大きく異なる点があります。それは景気循環や金融政策の位相です。1期目のスタートは、米経済がリーマンショック後の長い低迷から立ち直り始めた局面でした。15年末に9年ぶりの利上げが実施され、本格的な利上げは16年12月以降、まさにトランプ政権1期目の前半と重なりました。今回は、22年春から23年夏までに大幅な利上げが実施され、24年9月からは利下げへと転換しています。

今後も米景気の拡大は続くでしょうか。減税や規制緩和は景気刺激効果が期待できそうです。一方で、インフレの再燃や財政赤字の拡大による長期金利の上昇、関税引き上げによる世界貿易の縮小、それらは景気失速をもたらすかもしれません。

トランプ氏の公約のうち、何がどんな形で実現するか、そして何が実現しないか。トランプ大統領が極端な政策を打ち出そうとした時に、閣僚や議会がブレーキをかけることができるか。それらを見極めることが重要となりそうです。

米経済に想定される3つのシナリオは以下の通り(詳細はの「マクロ経済の相場環境」をご覧ください)。


米国がソフトランディングを実現できれば、景気低迷に喘ぐ欧州との差が欧州通貨に対する米ドルのアドバンテージとなりそうです。また、市場は総じてリスクオンの地合いが想定され、資源価格や新興国通貨にとって比較的良好な環境と言えそうです。日銀にとっても金融政策の正常化を進め易い環境かもしれませんが、利上げは限定的となり、内外金利差が引き続き「円安」要因として意識されるでしょう。


世界的に景気が低迷するなか、資源価格は下落し、またリスクオフの地合いが資源・新興国通貨にとってマイナスとなります。日本も金融政策の正常化を先送りせざるを得なくなります。ただ、リスクオフに伴う「質への逃避」や資金還流が円を支える構図はみられるかもしれません。


トランプ大統領が選挙公約の実現にまい進するケースでは、市場のセンチメントは不安定になり、米ドルや株価、市場金利(債券価格)は乱高下します。このシナリオが実現した場合は、しかるのちにサブシナリオ(リセッション)に変異する可能性が高まります。

◇2025年6月までの主なイベント:
1月2日 米デットシーリング(連邦債務上限)復活
1月20日 米トランプ大統領就任
2月23日 ドイツ総選挙
3月中旬 春闘集中回答日
4月13日 大阪・関西万博開幕(10月13日まで)


25年6月までの米ドル/円は24年年間とほぼ同じ140円~160円のレンジでの推移が想定されます。米経済がソフトランディングを実現できれば、米ドル/円は160円に向けてジリジリと上昇しそうです。ハイパー景気のシナリオでは早い段階で米ドル/円の上昇が進むかもしれません。ただし、いずれの場合でも160円を超える動きには本邦当局による米ドル売り円買い介入の可能性があり、市場もそれを警戒するでしょう。

一方で、リセッションのシナリオでは、米FRBがアグレッシブな利下げを進めることで、米ドル/円には下落圧力が加わりそうです。もっとも、本稿執筆時点で市場が予想するように日銀が6月までに1回0.25%の利上げにとどめ、あるいはそれすらも困難になる状況では、米景気の落ち込みがよほど大きくならない限り、140円を超える「円高」の可能性は低そうです。

引き続き米長期金利(10年物国債利回り)が重要なカギを握りそうです。トランプ政権の誕生に向けて債券市場のセンチメントは弱気に傾いているようです。長期金利が上昇する、あるいは4%台後半を維持するならば、米ドル/円のプラス材料となりそうです。ただし、財政赤字拡大の懸念から長期金利が上昇する場合は、「悪い金利上昇」と判断されて米ドル/円に下落圧力が加わる可能性にも注意は必要でしょう。

どのシナリオにおいても、為替相場のボラティリティ(変動)は大きくなりそうです。トランプ次期大統領の発言や行動が予測不能であり、市場が想定外の事態に直面する可能性もあるからです。トランプ次期大統領によるSNSなどの発信が頻発しそうな現地時間の夜、日本時間の午前中にはとりわけ注意が必要かもしれません。<西田>






米FRBやBOE(英中銀)が利下げに慎重な姿勢をみせる一方で、ECBは積極的に利下げを進める姿勢をみせています。3会合連続(通算4回目)の利下げを決定した12月理事会後の会見で、ラガルド総裁は、景気は足もとで勢いを失いつつあり、リスクは下振れ方向にあると認めました。また、トランプ次期大統領の関税引き上げ方針など貿易摩擦にも懸念を表明しました。ラガルド総裁は一方で、インフレとの戦いはまだ完了していないとしつつも、インフレ率は25年に2%に落ち着くと自信を見せました。

12月20日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、25年6月までの4回の理事会で市場は0.25%×4回分の利下げをほぼ完全に織り込んでいます。

ECBと米FRBとの金融政策の差を基にすれば、ユーロは対米ドルで軟調に推移しそうです。ただし、米国がリセッション(景気後退)入りするなどして、FRBの利下げペースが速まるようであれば、ユーロは相対的に有利になるかもしれません。また、ECBとBOE(英中銀)の予想利下げペースにも差はありますが、英国景気の低迷を前提とすれば、ユーロ/英ポンドの下落余地はやや小さめかもしれません。<西田>









英国は23年後半のリセッション(景気後退)からいったん脱したものの、足もとで再び景気が低迷しているようです。24年9月と10月の月次GDPはいずれも-0.1%とマイナスでした。6月と7月は横ばいだったので、6月以降でGDPがプラスだったのは8月(0.20%)のみです。また、総合PMIは8月をピークに低下基調にあり、12月(速報)は前月と同じ50.5と、辛うじて景気の拡大を示唆しました(50割れで景気縮小を示唆)。

BOE(英中銀)は景気への懸念を強めつつも、インフレ改善の遅れから利下げには慎重です。12月のMPC(金融政策委員会)でも政策金利を4.75%と主要中銀の中では高い水準に据え置きました。ただし、決定は6対3で、3人が利下げを主張したことが明らかになっています。12月20日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む25年2月の利下げは7割弱。同6月には追加利下げがほぼ5割織り込まれています。今後の状況次第では、追加利下げの観測が高まり、英ポンドの重石となる可能性もありそうです。<西田>








RBAは23年11月に0.25%の利上げを行った後、24年12月まで9会合連続で政策金利を4.35%に据え置きました。

前回24年12月の政策会合では、RBAのタカ派的な金融政策スタンスが変化したことが示唆されました。RBAは12月会合時の声明で、従来の「何も決定しておらず、何も排除していない(利上げする可能性もある)」と「政策は十分に景気抑制的である必要」を削除し、「理事会はインフレ率が目標レンジに向かって持続的に推移しているという、ある程度の確信を得つつある」としました。将来の利下げに向けた地ならしとの解釈ができます。

市場では、早ければ25年2月の会合で利下げが行われるとの観測があります。FRB(米連邦準備制度理事会)やECB(欧州中銀)など日銀を除く主要中銀の多くが利下げを行うなかで、RBAは政策金利を据え置いてきたこともあり、実際に利下げが行われた場合のインパクトは大きくなるかもしれません。

豪ドル/米ドルについては、FRBの利下げペースも重要です。FRBの利下げペースが緩やかならば、豪ドル/米ドルは軟調に推移する可能性があります。

日銀はいずれ追加利上げを実施すると考えられます。ただその場合でも、日銀の政策金利の水準がRBAと比べてかなり低い状況に大きな変化がなければ、金融政策面から豪ドル/円はそれほど下落しないかもしれません。

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【豪ドル/NZドル】
RBNZ(NZ中銀)が積極的な利下げを実施する一方で、RBAは政策金利を据え置き続けたことが、豪ドル/NZドルを支援してきました。

今後は、RBNZの利下げペースは鈍化する可能性がある一方で、RBAは利下げを開始すると考えられます(*RBNZの金融政策の詳細はNZドルの項をご参照ください)。実際にRBNZの利下げペースが鈍化してRBAが利下げを開始すれば、豪ドル/NZドルは下落する可能性があります。<八代>









RBNZ(NZ中銀)は24年8月に利下げを開始し、11月まで3会合連続で利下げを実施。利下げ幅は8月が0.25%、10月と11月が0.50%でした。

前回24年11月会合時の声明では、「経済状況が予測通りに推移し続ければ、25年初めに政策金利をさらに引き下げることができると予想している」とされ、追加利下げが示唆されました。

これまでの積極的な利下げによって政策金利はRBNZが中立金利(景気を過熱も冷やしもしない政策金利の水準)と推計する2.5~3.5%のレンジ上限に近づきつつあります。利下げペースはいずれ鈍化すると考えられます。実際にRBNZの利下げペースが鈍化すれば、金融政策面からのNZドル安圧力は緩和する可能性があります。

NZドル/米ドルに関しては、FRBの利下げペースも重要です。FRBの利下げペースが緩やかな場合、米ドルが全般的に強含んでNZドル/米ドルは上値が重い展開になりそうです。NZドル/円については、日銀の追加利上げのペースが緩やかならば、それほど下落しないかもしれません。日銀と比べてRBNZの政策金利がかなり高い状況に大きな変化はないとみられるからです。<八代>






BOC(カナダ中銀)は24年6月に利下げを開始し、12月まで5会合連続で利下げを実施しました。利下げ幅は6月・7月・9月が0.25%、10月と12月が0.50%でした。

前回24年12月会合時のBOC声明では、従来の「政策金利はさらに引き下げられると予想している」が削除され、「政策金利のさらなる引き下げの必要性を会合ごとに判断していく」になりました。マックレムBOC総裁は会合後の会見で「経済がおおむね(BOCの)予測通りに推移すれば、金融政策へのアプローチはより緩やかになると予想している」と発言。今後の会合で利下げを見送ることもあり得ることや、利下げするとしても幅は0.50%よりも小さくなることが示唆されました。

市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、BOCの政策金利は25年12月時点で2.75%との見方が有力です(24年12月20日時点)。仮にこの通りになるならば、BOCの政策金利はあと0.50%引き下げられることになります。

24年終盤の米ドル/カナダドル上昇は、FRBとBOCの利下げペースの差が主な要因と考えられます。FRBとBOCの政策金利差の拡大に歯止めがかかれば、金融政策面からの米ドル/カナダドルへの上昇圧力は緩和しそうです。

トランプ米次期大統領の政策には注意が必要です。トランプ氏は、25年1月20日の大統領就任後ただちにメキシコとカナダからの輸入する製品すべてに25%の関税を課す考えを示しています。実際に対カナダ関税が発動されるのかどうか注目です。対カナダ関税の発動が見送られた場合、カナダドル高材料になりそうです。<八代>






TCMB(トルコ中銀)は24年3月に利上げを実施した後、11月の会合まで8回連続で政策金利を50.00%に据え置きました。

トルコのCPI(消費者物価指数)上昇率は24年5月の前年比75.45%をピークに鈍化しており、11月は同47.09%でした。高金利の影響によってトルコ経済は減速しており、トルコのGDP(国内総生産)は4-6月期と7-9月期にいずれも前期比マイナス0.2%となり、簡便的にリセッション(景気後退)の定義とされる2四半期連続のマイナス成長となりました。

市場ではTCMBは12月26日の会合で利下げを行うと予想されています。本稿執筆時点で12月会合の結果は判明していませんが、仮に利下げが実施された場合、25年の利下げペースがどうなるのかが注目されます。TCMBが積極的な利下げを続ければ、トルコリラが軟調に推移する可能性があります。

23年6月に経済チームを刷新(財務相とTCMB総裁が交代)してからは、エルドアン大統領がTCMBの金融政策について発言することは少なくなりました。エルドアン大統領が経済チーム刷新前のように再び金融政策に干渉するようなら、トルコリラには下押し圧力が加わりそうです。<八代>




SARB(南アフリカ中銀)は24年9月と11月の2会合連続で利下げを行いました(利下げ幅はいずれも0.25%)。

南アフリカの24年11月CPI(消費者物価指数)は前年比2.9%と、SARBのインフレ目標(3~6%)を2カ月連続で下回り、目標中間値である4.5%は4カ月連続で下回りました。SARBは今後さらに利下げすると考えられるものの、利下げのペースはこれまでの0.25%が継続される可能性があります。仮にFRBの利下げペースが鈍化するなかで、SARBが大幅な利下げを行えば、南アフリカランドは対米ドルで下押し圧力が加わるおそれがあるからです。

南アフリカランド/円については、日銀が追加利上げを実施してSARBが利下げを継続したとしても、いずれもそのペースが緩やかならば、それほど下落しないかもしれません。<八代>




BOM(メキシコ中銀)は24年12月19日の政策会合で0.25%の利下げを行うことを決定。政策金利を10.25%から10.00%へと引き下げました。利下げは4会合連続です。

12月会合時の声明では、「政策金利のさらなる調整(追加利下げ)が可能になると予想している」と改めて表明されました。また、新たに「ディスインフレの進展を踏まえ、抑制的な金融政策スタンスを維持しつつも、今後の会合ではより大幅な下方調整が検討される可能性もある」が追加され、今後0.25%を超える幅の利下げもあり得ることが示唆されました。これらはメキシコペソにとってマイナスと考えられるものの、日銀の追加利上げのペースが緩やかならば、メキシコペソ/円に関しては他のクロス円と同様にそれほど下落しない可能性があります。

カナダドルと同じくトランプ米次期大統領の政策には要注意です。トランプ氏は、25年1月20日の大統領就任後ただちにメキシコとカナダからの輸入する製品すべてに25%の関税を課す考えを示しています。実際に対メキシコ関税が発動されればメキシコペソには下押し圧力が加わると見られる一方、関税の発動が見送られれば、メキシコペソ高材料になりそうです。<八代>




24年はノルウェーとスウェーデンの金融政策に大きな差が出ました。リクスバンク(スウェーデン中銀)は5月に利下げを開始し、政策金利は年初の4%から年末に2.50%まで低下しました。一方、ノルゲバンク(ノルウェー中銀)は23年12月に政策金利を4.50%まで引き上げ、24年を通してその水準を維持しました。

25年は、ノルゲバンクも利下げを開始する見通しです。そうしたなかでも序盤は政策金利差(スウェーデン<ノルウェー)の拡大が予想され、引き続きNクローネにプラスとなりそうです。ただ、ノルゲバンクの「据え置き⇒利下げ」は金融政策の転換であり、転換時においてはNクローネの下落圧力を生みそうです。また、年央にかけてリクスバンクの政策金利が中立水準に接近することで、打ち止め観測が浮上するかもしれません。

Nクローネ/Sクローナ(NOK/SEK)については、ノルウェーが産油国であるため、原油価格の動向も重要。中国をはじめとする世界経済の減速が一段の需要鈍化をもたらすのか(原油安=Nクローネ安要因)、中東情勢の緊迫化が原油価格の上昇(=Nクローネ高要因)につながるのか、見極める必要がありそうです。<西田>




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豪ドルの上値余地を探る上では、RBAによる金融政策の動向が最大の焦点となりそうです。RBAは2020年11月に政策金利を同国史上最低値となる0.10%に引き下げましたが、2022年5月の会合で利上げに踏み切りました。2023年4月の会合で利上げを見送り、10会合に及んだ連続利上げがストップしたものの、翌5月にはインフレの上振れリスクなどを理由に利上げを再開、予想外の決定でマーケットを驚かせました。
RBAは2024年6月の会合で政策金利を据え置き、4.35%の高水準で維持することを決定しました。声明では「直近のインフレ率は低下ベースが鈍化」と引き締めの可能性に含みを持たせており、その後行われたブロックRBA総裁の記者会見では、利上げの議論があったことも伝えられました。RBAの政策運営は豪ドル/円に対して大きな影響力を持つためその動向は注視しておきたいです。